窪美澄作品。
24歳の由人
48歳の野乃花
16歳の正子
生きることを止めようとした3人が
迷い込んだクジラを見に行くことになる物語。
やっぱり、窪美澄は長編の方が合ってる。
登場人物のひとつひとつの描写が
丁寧に描かれていて
各キャラの抱える絶望に
うちのめされた・・・
特に、野乃花の過去は壮絶だった。
恋をして、妊娠して、結婚して
と、書くとフツーの人生に思えるけど
18で望まない妊娠をして
生まれた赤ちゃんを殺してしまうんじゃないかと
ハラハラした・・・
正子の親子関係も、未成年だから
どうしたって解決のしようがないと思ったり
由人は、私も同じくうつ病になった人間だから
共感する部分はあったけど
救いは、父親が味方になってくれて
実家から出る道をくれたことだよね。
由人の母親も、正子の母親も歪んだ愛情なんだよね。
その歪みが子供たちを苦しくさせている・・・
由人の場合は、開放された由人ではなく
家に残された引きこもりの兄や10代で出産した妹が
気になった。
正子の母親の潔癖過ぎる一種の病気のような感じは
似たような人を見たことがあって
ほんとに、いつも掃除していたし
つねに消毒もしていた。
キッカケは、正子が生まれる前の
赤ちゃんで亡くなってしまった
正子の姉の死だと思うけど
それが、どんどんエスカレートしていって
正子を、がんじがらめにしていってる。
野乃花が、捨てた故郷に
クジラが迷い込んで見に行った先で知り合う
雅晴と、おばあちゃんの存在が
正子を救っていったと思う。
東京の良さ、悪さ
田舎の良さ、悪さ
どちらも描いていたと思う。
どうしたって自分は東京寄りなので
星空より東京タワーの方が好きだし
星空をコワイと思うのが
自分だけじゃないんだって安心もした。
子供を捨てた野乃花を
正子が、バッサリと怒るシーンがあって
窪美澄やっぱり、容赦ないと思ったw
子供が子供を産んだんだもん。
しょうがない。
本人は、ずっと後悔しているしって
思いそうなところを
そんなわけあるか!!!!!
と、パンチを食らわしてくるw
晴菜が、幸せそうに育っていたのも
救いだった。
これで、由人がミカとよりを戻せたら
さすがに出来過ぎって思ったけど
まぁ、そうはならないねw
妊娠し体型が変わっていく
子供を産んだら、すぐに元の体型に
戻れるわけじゃない。
18歳の野乃花が
こんなこと誰も教えてくれなかったと思うのも
経験者なら痛いほどわかる。
私の場合、帝王切開だったので
帝王切開の傷を初めて見た時
本当にショックだった・・・
でも、妊娠して早く赤ちゃんに会いたいと
思えた自分は、幸せだったと思う。
育児も支えてくれたパートナーのおかげで
ふたりでガンバってこれた。
33歳の英則が、ほんとにクズ。
18歳の子供相手に、避妊具を
「しないほうが、お互い気持ちいいと思うから」
とか、妊娠はしない
「だいじょうぶだから」
って
どこが大丈夫なんだよ!!
避妊具しないで気持ちいいのは男だけだろが!!
と、中年になった私ならツッコミの嵐なんだけどw
30代で、10代に手を出す
まともじゃない大人が、政治家になってしまう世界も
コワかったな。
よく、娘の晴菜は、まっすぐ育ったな。
小説の残りページが少なくなると同時に
あと数ページで、ほんとにみんな救われるの?
解決するの?
と、不安になりながら読んだ。
読み終わった後は、野乃花の生きるために
なんでもやるっていう強さを思い出した。
この小説で、とにかく伝えたかったことは
「死ぬな」だったと思う。
この一言を伝えるための物語だったと思う。
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